ある少年は夢を見る。
「ごく普通に過ごすことを」
その少年の妹は誓う。
「過去の自分と決別することを」
ある少女は嫌う。
「弱虫な自分のことを」
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2037年、教科書に載るような事件があった。
その事件の名はヨンナナ旅客機ハイジャック事件。
大阪にある関西空港着の便があるテロリストらによってハイジャックされ、その旅客機はそのまま
元梅田にあるビルに激突。死者1000人を超えるテロになった。
テロリストらの動機は不明で、どこの国の出身かも不明。
そのため世界は一時期不安定な情勢に陥った。
その事件とほぼ同じ時期になにかしらの出来事がトリガーとなり後天的に異能力が発現するという謎の症状が発生。
それはある研究員たちによって負症候群(マイナスシンドローム)と呼ばれるようになる。
時間の経過で大人に対する感染はほぼ沈静化したものの、感情の振れ幅が大きい子ども達だけはその症状が沈静化することはなかった。
後にそのテロの被害に遭った地区は平和の象徴するために桜が植えられ、桜ヶ丘区と名づけられた。
そしてその悪夢の事故から約10年後。
負症候群は流行病としてほぼ終止符がうたれた。
2048年。
その桜ヶ丘区で生活をする少年、秋野 椛(あきの もみじ)は今年で高校2年生になる。
両親は幼い頃にヨンナナ事故で亡くし、妹である秋野 楓(あきの かえで)と2人で暮らしている。
そして、高校2年生の始業式の日、椛は不思議な夢をみる……。
「俺はもう一人のーーー」
この不思議な夢から始まった椛達の少し変わった物語。
今ここから始まる。
現代 男主人公 女主人公 超能力
読了時間:約73分(36,041文字)