1話(1部分)完結の短編集系連載です。
この物語はフィクションであり、実際の『あの世』とは一切関係ありません。
死んでも死にきれず、この世に留まる人は多い。
困った『あの世』は、あの世とこの世の狭間に小さな懺悔室(ざんげしつ)を置きました。懺悔室では真実と死者の心を見抜く、角のない『角無し鬼』という少年が話を聞いてくれます。
話せば逝ける人ばかりではなく、角無し鬼は言葉をかけ、紅茶を出し、助言もします。
無気力に死んだ女性には、ゆったりとしたアフタヌーンティーで楽しく会話し満足してもらいます。
不運な事故で死に、加害者となった友人に「許している」と伝えたい青年もやって来ます。死者が生者と関わることは出来ないものの、角無し鬼は『夢枕に立つ姿を願いましょう』と勧めます。
角無し鬼が欲しい物は、意志をもつ黒テーブルが出してくれます。
角無し鬼は懺悔室を『ティールーム』と称し、黒テーブルに紅茶とお菓子を用意してもらいながら、今日も死者が通るのを待っています。
※このお話はカクヨムにも投稿しています。