見覚えのない荒野を朦朧とした意識で彷徨う者があった。ここは何処なのか、自分は何者なのか、何一つ解らずに――。時を同じくしてヘンディア大陸の乾いた大地を旅する放浪者一行の一人、ルヤはある日体調を崩し、猛獣退治に赴く家族のような存在である三人の仲間の帰りを村で一人待つことになる。そしてまた、同じ荒野の別の座標にて、とある現操術師(げんそうじゅつし)はただならぬ気配を感じ馬車を飛び出した。血まみれで倒れている旅人を助け起こし、辺りに充満する狂ったような威圧感に身を凍らせる。そこで彼が目にしたものとは――?一見無関係な事象、しかしそれらは非情な運命として複雑に絡み合っていくことになる。
ファンタジー 異世界 シリアス 記憶喪失 悲劇 葛藤 絆
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