和沙(かずさ)と椛(もみじ)は仲のいい親子だった。どこにでもいる平凡な親子だった。 母子家庭となり和沙の鬱病が悪化、生活環境の乱れから椛は児童養護施設で暮らすことに。 やがて椛は、和沙のもとへ戻ることとなり、順調に成長していくが‥。 親子のすれ違う感情。やがて別れの時は訪れる。

夜の海、男は風の中に声を聞いた。 深い暗闇の中、彼は忘れていた何かを思い出そうとする。

両親の再婚、いじめ、血の繋がらないことを知らない弟たち。 三ツ尾さくらの人生は、とてつもない厄介ごとが多く、嘘が、生き抜くための必須事項だった。 嘘に尾びれが付いていくのではなく、自分の尾びれに嘘を塗り固め、必死に水を切るのだ。 だけど、その嘘が少しずつ彼女に傷をつけていく。 「誰か一人だけでもいい。 　本当の私を知っていてほしい。」 彼女の告白は誰かに届くのか。 それとも・・・・。