高校生だった僕はこの世界に生まれ変わって幸せだった。
僕は父と母と召使の人たちと、王都で平穏な毎日を送っている。魔族との戦争で英雄的な戦果を上げた父は世間では大賢者なんて呼ばれていて、僕は父の元で魔法を学ぶ毎日だ。そして母は王女様、美人で優しくて頭がいい。ぎゅっとされると石鹸の匂いがした。
生前への未練はほんの少しだけ残っていたけれど、何不自由ない満たされた毎日に僕は充実している。
最近、平和そのものだった僕たちの住む王都で、子供がいなくなる事件が増えているらしい。
その話を聞いたときは、まさか僕がこれから巻き込まれるなんて思いもよらなかった。