勇者としての使命を与えられた皇太子、新たなる魔王の器として生まれたものの、自分がなんたるかを知らず一人きりで森の中に住む少女。
予言の魔女にそそのかされた王は、皇太子に器を亡きものにせよと送り出す。
盗賊に襲われ怪我をした商人として近付いた皇太子を、自分の命を狙うものとは知らずに少女は助け、生活を共にしていく。
森の中で二人で暮らしてく内に、互いに愛し合うようになる二人だったが、偽りの生活は魔王の器の討伐という選択をした皇太子の決意とともに悲恋を迎えた。
生き残った勇者は弱体化した残りの魔物討伐を成し遂げ、新王となり壊れかけた国を建て直して生きていく。
やがて年をとり、自らの死を前にベッドに横たわった彼が愛と美の女神に願った祈りは、来世で勇者に殺される次代の魔王。
消えかけの命をかけた願いが聞きとげられ、国を救った英雄王として、惜しまれながら死んだ彼は願いとおり次世代の魔王の器として生を受けた。
貧しい暮らしに耐え続け、文字通り死にゆく覚悟で何とかたどり着いた魔城。
魔王の器から、正式に魔魂を受け継ぎ、はれて本物の魔王に。
今世の王に魔王復活の先触れとして暗黒竜を差し向け、世話役として二匹のスライムを作り、いつか来るであろう勇者に想いをさせながら、門扉を開け放ち罠を解除し、魔城に魔王らしい飾りつけをして準備万端。
勇者に殺されて、これで全てを終わらせられる…と思った矢先、運命はまたもや違う立場で繰り返されることに…。
「さぁ、待っていたぞ勇者よ!!」
「ウソっ!こんなところに居たなんて!!」
出会った勇者は、前世の恋人にそっくりな面影で魔王たる自分を見て、涙を流して歓喜の声をあげている。
え?これは一体どういうこと?
首を傾げる僕に、勇者は叫んだ。
「わたしよ、わたし!ティア!ティア.ルーセントっ!あなたの恋人だった、あのティアなの!」
「え?」
魔王として生まれ変わった僕は、勇者に殺されて平和な世の中に戻り、めでたく人生が終わるはずだったのに。
それが魔王を倒しにきた勇者が、前世の元カノだってっ!?愛と美の女神は、情けのひとかけらもくださらなかったのか…。
前世では皇太子と孤児という身分差に、勇者と魔王の新たなる器として選ばれた二人は、今世では立場が入れ替わっただけで、またもや殺し殺される運命に転生していた…こんな事ってあり?
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