失恋してから、調子が戻らない。やりがいがあったはずなのに、仕事も辞めてしまった。みっともなく弱り、実家に帰り、悶々とした日々が続く。どうしてこうなってしまったんだろう、将来のことも、分からないーーーー。
それでも日常は回る。ふと、家族の温かさに気付き泣きそうになった。ケーキ屋さんのあの人は、記憶の中の少年、これから優しさを分け与えていく人。ーーーこの2年間、何にも深く突っ込もうとしなかった。いつでも離れられる距離をとっていた感じ。幸せになるよりも、耐えられそうな不幸せを選んでたんだ。ーーー誰にでも起こりうる出来事なのに、一つとして小さくない、そんなエピソードがここに。