精神をコントロールし最適な人間を作った社会は精神主義国家として繁栄を築いていた。人類は自我を調整して他者と共有するサイマティックセラピーシステムをもちいて経済学的・社会学的理論に正しい社会を創造していた。生産効率、社会の合理的運営、人的資本の余剰管理を徹底し、もっとも歴史上で繁栄した時期として記録されるにふさわしい栄華を極めていた。
そんな精神主義国家でも犯罪は起る。起った犯罪は精神犯罪と定義され世界各地で大きな社会脅威となっていた。国際連邦政府は警察組織としてWHOに一部局、精神衛生局を創設して世界中の精神犯罪に対する対応を担っていた。
そんな最中、精神衛生局のエリート監察官、伊坂道は、ひとつの殺人事件に直面するのだが……
ハヤカワSFコンテスト一次選考作
未来 職業もの サスペンス ディストピア 刑事 復讐 長編 ユートピア
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