神の迷宮。世界各地にある迷宮の中で特異的なものがそう呼ばれる。 　その一つを攻略する青年は、成長の希望が見えない自身の力に悩んでいた。やがて、仲間の足を引っ張っていることを気にして、彼は長年組んだパーティを脱退した。 　青年は出来ることもなく、故郷へと帰ろうかと力不足に嘆く。 　そんな彼が純白の両翼を持つ少女──天使と出会う。 天使であることを隠したい彼女は自身の存在を知られた青年を謎の力で言いなりの身にすると、彼が探索者と知って迷宮の道案内をさせ始めた。 　天使の目的は青年が攻略していた海底迷宮、その最奥。 　意図せぬ形で迷宮攻略を再開した青年は、天使に振り回されながらも彼女の白翼を追うため今日も苦心する。 　※章ごとに毎日投稿。完結しました。

　とある王国は裏切りによって滅びんだ。 　王国の王女は手勢と共に追手から逃げ、数を減らしながらも一種の無法地帯である迷宮群生荒野【アーランド】へ落ちのびた。 　王女とその護衛は裏切りを恐れ、口の堅い奴隷を買い上げる。 堅いどころか、まともに話せない奴隷少年は愚直ながらも働き、王女の護衛として重宝されるようになっていく。 　身分のかけ離れた二人は日々を生きるため、迷宮蔓延る荒野【アーランド】で魔物を狩り、古代文明の遺物を手に入れ、日々を生きる【探索者】稼業を始めるのだった。 ※章完結までは毎日投稿。章の間は二ヶ月前後の書き溜め期間を頂きます。三章投稿中

酒の入った頭で覚えているのは告白されたこと。 私は受け入れる気もないし、まず恋人としたいこともない。 というか、人を好きになるってなんだ。 良い断り文句も思い浮かばない。仕方ないので気心知れた奴にメッセージを送る。『9:45にいつもの場所』。 ……数分遅れそうかも。 まぁ、四捨五入したら45分か。 「──50だアホ」

ある夏の晴れた日、大学の空きコマ。 某三十一日のアイス屋で買ったトリプルチョコミントを抱え、突然の土砂降りから逃亡し、公園の屋根ありベンチへと逃げ込んだ。 雨が止む気配もないのでアイスを食べようとする俺へ、同じく雨から逃げてきたお姉さんに声をかけられた。 ただ、それだけの話。

父親の海外転勤に伴い片田舎に住む親戚の家へ引っ越した読書好き、金重氷汰。 そこは豊穣の神が住まうなんて与太話のある町だった。 不思議な町、実豊町の高校へ転校した彼は町一番の名家の娘、豊野秋と出会う。 巫女を冠する彼女から「一目惚れです」と氷汰は告白された。 秋と瓜二つな実豊町の神様──しゅうに見惚れ、断る選択肢を実質的に封じられた氷汰は告白を受けてしまう。 根拠もない謎の好意を受けながら彼は奇妙な学校生活を送るが、氷汰が秋になびくことはない。 そんな彼を惚れさせるべく、秋も周囲を巻き込み彼を振り回し始める── ＊完結しました。

人の言うことに逆らわずに生きる高校三年生の男子、海崎蓮は担任の頼みを引き受け不人気な図書委員を任される。 その活動の最中、校内で独特な地位を築いている同級生の女子──木藤と出会った。彼女は長いものに巻かれるような振る舞いの蓮を嫌いと公言する。 しかし、義理堅いことで有名な彼女は蓮から借りた参考書の礼のため、なんでも質問に答えると言う。 その応答で二人は価値観が似ていることを察し、放課後の図書室でのみ、少ないながら会話を交わすようになる。 彼らが会話を交わすのは月曜日の放課後のみ。その限られた時間で様々な議題で議論を交わす二人。 そして、この関係に名前を付けるならという議題が挙げられた。 緩やかに推移し、広がる二人の会話の場。二人は自分なりの思考を尽くし、答えを見出そうともがいていく。 ＊完結済み

　神の試練。それは超えられない岩壁に囲まれた超巨大迷宮である。 試練を越えた先でしかたどり着けない雲を貫く塔は有名で、夢を求めて目指す者、財宝を求める者、日銭のために迷宮で採取物探す者と様々な目的を持つ彼ら──探索者として迷宮に挑む者たちが存在していた。 　とある少年──チェシャも神の試練に潜るため、迷宮から産出される資源で栄える都市──セントラルにやって来た。 　そして彼は、迷宮の不可思議に誘われコールドスリープから目覚めた記憶喪失の少女と出会う。 　古の武器を扱う少女、迷宮の謎に迫る研究者、奔放ながら騎士を思わせる女性、小大砲を扱うハツラツな少年。 　彼らと共に迷宮へと潜るチェシャは少女の記憶の謎、塔の謎へと迫っていくことになる── 　 　※章ごとに毎日投稿。完結しました。

彼女の瞳は、「俺」を映している。 だけど、「俺」を見てはいない。

決められた道筋。 貴方はそれを楽だと思いますか？ それとも、つまらないと思いますか？

渚。 押し寄せる波。 寄り返す波。 彼女はどうしてそこで歌うのだろう。