関取・斎藤満が目を覚ますとそこは魔法が存在する異世界だった。そこでは相撲が魔法を用いた決闘として広まっており、彼の知る相撲はなかった。
彼は満星(みつるぼし)という四股名と共に、その150kg越えの巨体で相撲界に殴り込みをかけた。
それはまさしくインベーダー。異なる価値観と異なる設計思想をもって、磨き上げた肉体を振るう蹂躙者。
それはまさしく異世界無双。魔法という未知の体系を意に介さずに、異世界の現役関取を下す快進撃。
そんな彼には少しだけ悩みがあった。それはこの世界にちゃんこ鍋がないことだ。相撲界のソウルフードがここにはない。
「ちゃんこが欲しい」とつぶやく声にかけられるのはエンチャント。
違うそうじゃない、語感は似てるけどそうじゃない。
そんな悩みを抱えつつ、彼はひたむきに相撲を取り続け、異世界の相撲界で成り上がる。目指すは横綱、頂点の地位。
元の世界では手に入らなかったその座も、きっとこの世界でなら手が届く。手が届いたところで、心に空いた穴が埋まるのかは別問題なのだけれど。
BK小説大賞 ギャグ 男主人公 和風 現代 職業もの パラレルワールド ESN大賞8
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