2070年に人間の意識がゲーム内にログインすることで、仮想世界を現実のように認識する完全型VRMMO方式が開発された。
これが以降の家庭用ゲーム業界の主力商品となり、既存のメーカーはもちろん、新規のメーカーもあいついで参入した。株式会社リターは2070年代に起業した後発のゲームソフト開発会社である。
リターの唯一の稼ぎ頭と言えるゲームが「GRAW」だ。このゲームに関連する収益がリターの収益の8割を占めている。つまり、リターはGRAWからの収益が無くなれば倒産せざるを得ない状況なのである。
そのリターの会議室に役員や開発関係者、それに関係各所の責任者が集められていた。GRAWはさまざまな問題を抱えており、その問題はあらゆる所に波及していたので、その解決策が話し合われた。
そしてひとつの解決策が決まり、その人員としてある男が指名された。