作品一覧全2件
連載 313エピソード
 ゴミ漁りをしていた少年は、たまたま通りかかった奴隷商人に拾われた。  少年に与えられたのは体を覆うボロ布一枚だけ。  奴隷商人は少年に32号と名前を付けた。  番号で呼ばれ、奴隷として過酷な扱いを受け続けた少年は心を閉ざす事を覚えた。  それは少年に出来る唯一の自己防衛だった。  ある時、魔物に襲われ大怪我を負ってしまった少年は、奴隷商人に森の中に置き去りにされてしまう。  魔物の彷徨く森の中で一人。  不安と恐怖に震えながら死を待つだけだった少年の元に一人の老人が現れた。  老人の名はオルド。  木こりを生業としていた老人は、森で見つけた少年を不憫に思い、家に連れ帰ると看病を始めた。  献身的に看病を続けたとは言え、常人離れした速度でみるみる回復していく少年の姿にオルドは驚愕する。  魔物に受けた傷口は完全に塞がったものの、少年が心を開くことは無かった。  言葉は理解しているらしいが、黙っているばかりで喋ろうとはしない。  それでもオルドは少年を見捨てなかった。  服を与え、食事を与え、若い頃に冒険者として培った知識、人間として生きる為に必要な知識を夜な夜な語って聞かせた。  ある日、オルドは木こりの仕事の最中に魔物と遭遇してしまう。  もうこれまでだと悟ったオルドの前にあの少年が現れた。 「爺さん。まだ、死ぬな」  少年はそれだけ言うと、武器も持たず、素手で魔物をあっという間に倒してしまった。  オルドは安堵した。  自分の命が助かったからでは無く、少年が初めて言葉を発した事に。  だが、振り返った少年の目は魔物のそれだった。  指先から滴り落ちる魔物の血と同じ色。  全身に真っ赤な返り血を浴びて尚、紅くギラつく瞳は人間の物では無かった。  怯えた目で自分を見つめるオルドを見た少年はそのまま立ち去ろうとした。  去り行く少年の背中を見たオルドは、少年に別れの言葉では無く、名を与える事にした。 「待て。どうせ名も無いのじゃろ。たった今からお前の名はレイヴン。レイヴンと名乗るがいい」 「レイヴン……」  噛み締める様に名前を呟いた少年はそのまま姿を消した。  そして数年後ーーー  レイヴンと名付けられた少年は冒険者の街で第二の人生を歩み始める。
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー] R15残酷な描写あり
最終更新日:2021年08月30日
身分差 オリジナル戦記 日常 冒険 最強 冒険者 ダンジョン 騎士 剣聖 賢者 魔剣 魔人 チート無し 悪魔 魔法 読了時間:約2,546分(1,272,911文字)
連載 35エピソード
天界で暮らしていた竜人族の少女ロアは、人間や妖精種の暮らす地上での生活に憧れていた。 祖父が教えてくれた『楽しい』を見つける為に天界を飛び出したロアであったが、それはまだ幼かったロアにとって予想だにしていなかった、辛い別れの連続という結末に終わってしまう。 世界には楽しい事が沢山ある。 けれど、竜人族は長命な種族。 人間達と触れ合うには生きている時間の流れが違い過ぎた。 心に深い傷を負ってしまった幼いロアは、幼馴染のミトと共に始めた『便利屋』の仕事もほったらかして、一日の大半を家に引き篭もって過ごす様になっていた。 そんなある日、ごろ寝して暮らす毎日にもすっかり慣れてしまったロアの元にミトが依頼を持ち込んで来た。 生活費を稼ぐつもりで出掛けたロアの元に現れた名前も知らない依頼主は、多額の報酬を提示して、“世界を救って欲しい” と告げた。 なんでも竜人族が生まれながらに持つ固有能力。その中でも特異能力に分類される『ギフト』を持つロアにしか出来ない事だと言う。しかし、長い間怠惰な生活を送っていたロアにはギフトの力が使えなくなってしまっていた。 再び能力を使える様になる為には、冒険者となって自分を鍛え直す所から始め無ければならない。 そんな面倒な事は嫌だと一度は断ったロアだったが、別れ際に言われた“見た事の無い楽しいを見られる” という言葉が頭から離れなかった。 胡散臭いと思いながらも依頼を引き受ける事にしたロアは、幼馴染のミトと共に冒険者になる事を決意する。 【本作品注意事項】 本作は「最強の冒険者と呼ばれた俺が最高の冒険者を目指した訳」のスピンオフ作品です。 主人公ロアの一人称視点となっています。 登場人物は「最強の冒険者〜(略)」作中の人物も登場しますが、本作単体でも楽しめます。 この作品はノベルアップ様にも掲載予定です。2020/05/05 現在
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー] 残酷な描写あり
最終更新日:2020年08月07日
年の差 オリジナル戦記 日常 冒険 ほのぼの 女主人公 魔法 ダンジョン ハッピーエンド 冒険者 最強 無双 チート 魔王 読了時間:約184分(91,774文字)