魔の国を統べる、王がいた。
この国では固有名詞はなく、それぞれが種族の特徴や与えられた役割で呼ばれている。そしてこの国の王はもちろん、魔王と呼ばれるその男だった。
そして、この魔の国に似つかわしくない存在がもう一体。それは魔王の住まう社殿の奥深くにいた。
シャボンの玉か、あるいは巨大な水滴。のようにみえるそれの中。
けれどもそれは蜃気楼のように霞んで、実体を持つものではない、檻。
その中に囚われているのもまた、実体とは思えぬほどに儚げな天使だった--。
※以前、SS速報VIPにて掲載し未完結だった作品を、小説投稿用に編集したものです。
当時のスレタイは 『 魔王「死ぬまで、お前を離さない」 天使「やめ、て」 』。
初投稿になります。よろしくおねがいします。