王が血統ではなく、霊力の高さで選ばれる世界。
王は不老長寿であり、霊力を込めた王気を発している。官吏たちは、王の霊力に護られて、長寿を保っている。
王が身罷ると、いくつかの変化が生まれる。
一つ、空から太陽が消え、暗闇と妖獣の支配する、天険の地と変わり果てる。
一つ、王の霊力により護られていた官吏たちの寿命が、尽き始める。
一つ、次王の身体に王の証である聖紋が刻まれる。
時は乖墨五年。王が身罷って四年の歳月が過ぎた。
新王不在の中、奸臣たちが暴走し、圧政に荒廃した陶国が、物語の舞台である。
未だに登極しない王を恨む耿晨《こうしん》は王を探すために。
王と疑われている玲凛《れいりん》は逃げるために。
二人の少女はそれぞれ旅に出る。