ーーみんなの為に生きたい、その先に孤独が待っていても。
VR技術が実用化され、一部の娯楽に導入された現代の日本。
群馬県高崎市の高校に通う主人公、霧海直樹は友人の波月春馬とともに平凡な学園生活を送っていた。
迫り来る受験。
やり場のない不満と焦燥。
直樹は、伸びる成績とは裏腹に虚しさを感じていた。
そんな時、一人の女子高生が彼のクラスに転校してくる。
彼女の名は、峯岸菜乃花。
華奢な体型で、前髪から覗く大きな二重のつり目は、直樹の心を揺るがした。
菜乃花とは座席が隣になり、恋愛を辞めた直樹は期待を抱いて彼女に挨拶してしまう。
しかし、菜乃花は少し頭を下げるだけで素っ気なく、その様子に直樹は彼女を気がかりに感じるのだった。
その日の放課後、直樹は春馬に誘われゲームセンターへ遊びに行った。
ビデオゲームコーナーには一月ほど前に導入された対戦VRゲーム、カルディアリンクスの筐体が並んでおり、春馬の目的はそれだった。
リズムゲームの傍から対戦VRゲームの様子を興味有り気に伺う腐女子、瀬田野紗綾を仲間に入れ、直樹たちはカルディアリンクスのトレーニングモードをプレイする。
圧倒的なリアリティと、飛翔感を堪能した三人は、友情を深め、日々の新たな楽しみに期待をした。
プレイを終え、その帰り際、直樹は一人の女子高生が三人の中年プレイヤーと対戦しているのを目撃する。
ライブモニターから女子高生が菜乃花であると分かり、三人を相手に彼女のクレジットHPが減少する光景は、直樹を不安にさせた。
そして、ついに動いた直樹は春馬を連れて筐体に再び座り、彼女のチームに参戦するが......。
日常 青春 冒険 ラブコメ 近未来 電脳世界 VRMMO 男主人公 学園 ゲーム 現代 シリアス
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