作品一覧全2件
短編
 ある真冬の夕方、男は神田から赤羽まで新人作家の原稿を貰いに京浜東北線に乗車する。懐かしい子供時代の思い出が蘇る。途中からひとりの老婆が乗って来る。そのまま赤羽に行けるものを、なぜか田端で下車する。わびしいホームにポツンとしていると、老婆とふたりきりになる。次の電車はわびしくも懐かしい木製の電車で、ふたりは二言三言、話をする。老婆は昔の母親に、男は幼児になっている。赤羽も冬ではなく夏の夕暮れになっていて、母親は幼い恋人の我が子と商店街を歩いて、夫の実家に向かう。実家はなく、幼児は男に戻り、老婆も闇に姿を消す。粉雪が降り注ぐ。  原稿を取りに歩いていると、その新人作家とすれ違う。新人作家は原稿は昨日持参したと言い、男は愕然とする。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2019年08月26日
日常 ほのぼの 読了時間:約28分(13,984文字)
短編
 家庭人の男は会社づきあいもほどほどに、初めて我が子に海を見せようと、妻、妻の両親とともに海辺に車で向かう。義父は最近認知症の疑いがあり、義母と妻の心配ごとになっている。男も義父の様子がおかしいことに気がつくが、妻たちと話ができないでいる。海に着くと、小さなレストランに入り、店をやっている親子とたわいもない会話をする。浜辺に出た男、娘、義父は少し水遊びをする。濃霧と豪雨が浜辺を襲い、浜の人々は散り散りになる。濃霧のあと浜辺を散策した家族は、店の娘の写真に納まる。  後年、ここを訪れたひとりの旅人が昔あったレストラン、今は喫茶店になっている店に入り、昔を懐かしむ。
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
最終更新日:2019年08月26日
日常 ほのぼの 読了時間:約53分(26,165文字)