その日オカルト好きな俺は、インターネットで見つけた怪しい召喚の儀式を実践していた。
ホームセンターで購入したチョークを使い床に描かれた"魔法陣"。
その前に立ち、俺は呪文を唱え始めた——。
この時、まさか魔術が成功するなんて思ってもいなかった。
ただこの高揚感を楽しみたかったんだ。
つまらない大学。
冷たい両親。
不自然に運動音痴な身体。
孤独感。
まるで、自分の”居場所がここではない”ような感覚。
そんな俺でも、この怪しげな行為をしている時は、現実から逃避して
自分が本当に魔術を使っているような感覚に浸れる。
はたから見たら "イタイやつ" かもしれないが、これは立派な趣味だ。
妄想と現実は一緒にしないし......?
その時、魔法陣が光はじめ—————
「とうとう、妄想しすぎで幻覚見始めたのかよ!? 俺!!」
—————身体を包み込んでいった。