時は20XX年。VR技術はかつてないほどの隆盛を迎えていた。巷に流通する仮想現実型のゲーム、ゲーム、ゲーム!
そんな中ネットワーク上で作成者不明のVRゲームプログラムがリリースされた。その名も胡蝶(Dream)の(Of)夢(Butterfly)、略称DOB。DOBはフルダイブVRにしてマインクラフトのようなゲーム世界を作れるゲームだった。たちまち世間はDOBに熱狂。全世界で3000万人の熱狂的ユーザーを獲得した。
しかし、このブームの陰では一つの社会問題が生じることとなる。引きこもり。従来の自室に引きこもる物理的な引きこもりではなく、DOBにて自身で作り出した世界に引きこもる電脳的な引きこもりが爆発的に増加していた。しかも外部から強制的にシャットダウンした場合、ユーザーはそのまま昏睡状態に陥る。まるで最初から引きこもり状態を想定していたDOBの仕様。
引きこもったユーザーを助け出す手立てはただ一つ。ユーザー自身が作り出したゲーム世界にクラッキングし、ゲーム完全攻略。そしてゲームエリアの最奥にいるユーザーの意識をサルベージすることだけだ。
厚生労働省はこの電脳的引きこもりに対処するための専用クラッキングメディカルチーム・SCMを立ち上げた。この物語は、SCMの先鋒であるプロゲーマーと彼らをバックアップするメディカル・ITスタッフ、そして引きこもったキャストプレーヤーの物語である。