◆肘の故障がもとで、野球を手放さないといけなくなった。野球を教えてくれたのは、ひとつ年上の女の子。甲子園に行けない怜の代わりにずっと野球を続けていくはずだったのに、その約束も守れなくなった。側にいると苦しい。だから遠ざけようとしたのに、俺はどうしても野球と怜に対する気持ちを断ち切れない。もう、手に入らないものをほしがることは辞めようと決めたはずなのに。
◇肘の故障がもとで野球をやめてしまった幼なじみ。久しぶりに再会した直は髪も伸びて大人っぽくなっていたけど、私の知る直とはちょっと違ってた。知らない間にできた距離。また野球を取り戻してほしいと思うけど、野球のことを会話に載せようとするたび、かげる表情に私は何も言えなくなる。ねえ、どうしたら野球をやっていた時みたいに笑ってくれるの?
(2008年度ノベル大賞三次落選作)
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