この世界では人は生まれながらに「スキル」という不思議な力を持つ。
スキルは通常一人一つだけ持っており、その能力は様々である。
正しく使えば生活を豊かにするスキルも、その使い方を誤れば強悪な力となる。
スキルを悪用するヒールが後を立たず、力なきものは悪意に怯えていた。
数あるヒールの中でも特に力を持ち、その残虐さから魔王と呼ばれる男がいた。
決して死ぬことのない「不死」のスキルを持ち、永遠に近い時間の中でありとあらゆる戦闘術をマスターした魔王は誰よりも強く、「ムカつく奴はぶん殴る!」と、逆らう人々を理不尽に殺し、人々を恐怖に陥れた。
魔王を初め、ヒール達の力は大きく、世界はヒールによって支配されていた。
そんな中、悪に立ち向かった者がいた。
タワダ。
そう名乗る彼のスキル「吸収」は相手のスキルを自分のものにする強力なスキルだ。
彼は魔王から不死のスキルを奪い、魔王を討った。
魔王の死をきっかけに、ヒールに立ち向かう者が各地で現れ、悪に支配される暗黒の時代は終わった...かに思われた。
「英雄タワダの失踪」
その日は突然訪れた。
タワダという悪の抑止力がなくなったことで、ヒール達の活動は活発化し、世界に再び暗黒の時代が訪れようとしていた。