ミカル・アルタニアは孤児だった。誰から生まれたのか、どこから生まれたのかわからない。養護院で過ごしている子供はみんなそうだった。ミカル・アルタニアもその中の一人に過ぎない。けれど、彼女は特別だったのだ。人よりはるかに強い霊力を持った彼女は15歳になった年、聖女になった。
そして、聖女となってはじめて祭壇に祈りを捧げた時、全てを思い出した。
悲しい過去だった。
無垢なあなたに色をつけたの。無知な私が。
こうして始まった悲劇が今も貴方を苦しめている。思い出してよかった。忘れてはいけないの。だってあなたがずっと苦しんでる。
でも思い出したくなかったの。だって今の私に何が出来るの?私の力は貴方の傷にしかなり得ない。でも思い出してしまったから。だから、私は貴方の元へ。
魔王である彼を解放する為に、ミカルは彼に会いに行く。