花街の自警団に所属する志乃は、〈妖雛(ようすう)〉すなわち半人半妖。〈物の怪〉と称される異形の襲来を予測された花街にて、前兆たる成り損ないを始末していた志乃は、旅の最中な初老男性、直武と出会う。
人外由来の能力を持つが、それ故に人とは言い難い欠落を抱える妖雛は、物の怪討伐の道具として都に徴兵される定め。志乃もまたその定めを笑って受け入れていたが、直武の旅に同行することが急遽決まる。その旅は、直武に連れられたもう一人の妖雛、境田芳親を育てるための旅でもあった。
それが、二人の妖雛の、熱病じみた夢の始まり。物の怪討伐の高揚に任せ、殺し合いの喧嘩で通じ合った人ならざる少年少女は、やがて歪んだ願望や定めとも向き合っていく。
「君たちは、意思なく志も無い道具ではない。人間だ。だからこそ、灯火を得て進まなければならない。掴みとりたいものと、そこまでの道を照らす灯火を見つけなさい」
進む道を照らす火は、自分で灯さなければならない。
これは、空虚な半妖の少年少女が心の灯火を得るまでの物語。
そして。
最幸の殺し合いができるお互いを友とし、けれど人の側にいるべく欲を封じ苦悩する志乃と芳親による、黄昏と灯明の和風ファンタジー成長譚。
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作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー]
R15残酷な描写ありボーイズラブ
最終更新日:2024年02月12日
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読了時間:約937分(468,021文字)