今日も、きっとあの街を飛んでいる
都会の都会化が日進月歩する傍らで人間は未来と同時に過去を求めた。
そう。
例えば昭和とか。
昔懐かしあの頃のああいう時代のあの街。――しかしそれは結果として時代から置き去りにされた街を形成するのと同義であった。
世の中の隠したいことを街の裏に隠し、性とか賭け事や社会の闇と呼びそうな人間や行為。いつの間にか陥っていた格差を真正面から受け止めた貧困にあえぐ者とか。
時代とか社会とか世間などの小さきものが大きくなって独り歩きし、そのまま成長してしまった何かに押しつぶされそうな現代社会の表と裏の狭間を少年が静かに、でも確かに飛んでいる。
巨大偽中華包丁を背に担ぎ、今日も、きっとあの街を飛んでいる。
執筆:小鳥遊 咲季真
イラスト、ロゴデザイン:明井 大哉
作品情報
ローファンタジー[ファンタジー]
残酷な描写あり
最終更新日:2019年11月25日
下町 昭和 キャバクラ 風俗 格差 貧困 暴力 ヤクザ ネット小説大賞八 ネット小説大賞八感想
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