地球人類が絶滅した第43紀に建造された電子意識体保管施設は692年経過した現在も稼働し続けている。肉体を失い、電子意識体として基板上にしか存在できなくなった人類の意識を維持管理するため、およそ4600000の自動生産型ロボットが配置され、年間5100TWhもの電力が消費されている。
同時にこの保管施設では、700年近くもの間、自動作成されたアーカイブを蓄積し続けている。月面にわずかに残った人類の記録、かつて太陽系の辺縁部に放たれ、独自の生態系と文明を築き上げたアンドロイドの報告、恒星ネメシスの残滓が支配するエッジワース・カイパーベルトとの戦争…。
人工知能 ディストピア
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