TRPGに惹かれていた。
しかし、親友達は難色を示し、インターネットを通じてのTRPGは諸事情により出来なかった。
自分に出来るのは、投稿されたTRPGをエンジョイ勢達がキャッキャウフフする動画を眺めることだけだった…社会人になるまでは。
「いい加減に人と話す練習してくれないかな」
「何度もアドバイスしてるのに改善してくれないと、仕事に支障出るし、そろそろ、ね?」
親友と会うのは1年に数回、後は家族と話す程度の自分は、話すことへの抵抗感がすごくある。こんな人間は社会としては排除されるべき存在であり、先輩達に直せと言われ続けていた。
「楽器とか、英会話教室とかでいいんだよ、人と話す機会を増やさなきゃ、やっていけないよ?」
先輩達に催促される習い事は興味無い。わざわざ時間と金を払い、苦痛の空間へ行くのは続く未来が見えない。人と話すという苦行をするんだから、せめて楽しいことがしたい。そう、ゲームとか…あ、それだ!
「今度の休み、TRPGカフェ行ってきます」