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代表作 連載 4エピソード
 全ての事柄には理由があり、その理由の積み重ねで今がある。  少女はある時に思った。自分が存在している理由は何だろう、と。だが答えはわからなかった。それは彼女にとって、そんなに簡単な問題ではなかった。  だからこそ、もう少し生きてみようと思った。  けれど生きる事も、そんなに簡単では無かった。例え実力があっても、たかだか少女の言動。大人たちにとっては戯言に過ぎなかった。邪魔なモノはどうしても鼻につき、好きな様に生きれない時間に価値はないと感じた。存在している理由はわからないが、存在を認識されない事には腹が立った。だから少女は、何にも囚われないよう、自分の好きなように生きた。  気付けば少女は大人になり、裏の世界から悪魔と呼ばれていた。それも仕方がない。彼女が好きに生きた結果、圧倒的な実力と財力が積み上がったのだから。  いつからか、彼女は思うようになった。  私という存在を後世に残す事は、少なからず私が存在した理由になると。  だから彼を拾った。そして期待して、彼は期待に応えている。少なくとも彼と同じ年齢だった当時の私以上に。後悔はない。例え彼が、この先きっと、私の前に立ちはだかる事になっても。  彼は私からみても可笑しいほどに天才だった。  そんな彼の仕事は、悪者を消すこと。目標は悪魔(育ての親)を超えて独り立ちする事。夢は自分と大切な人たちが幸せに生きて、納得して死ぬこと。  ただ当然、彼が死ぬ予定はまだまだ来ない。  彼の物語はまだ、始まったばかりだから。
作品情報
ハイファンタジー[ファンタジー] R15残酷な描写あり
最終更新日:2024年03月28日
読了時間:約54分(26,591文字)