以下に書き起こすのは、ある怪談師が深夜のラジオ放送にて語った“実話怪談”の一部である。
『――東京タワーにまつわるこんな都市伝説をご存じでしょうか?
『四本足のうちの一本が、かつて墓地だったところに建っている。』
有名な都市伝説ですから、この番組を好き好んで聞くようなリスナーさんのなかには、ご存じの方も多いかも知れません。――
(中略)
――これはラジオ業界ではタブーになっている話なのです。
というのも、ラジオでこの話をすると、ありえないノイズが走ってしまうのだとか。
それは電波障害で起こる類のものでも、スタジオ内での、なにかしらの物音でもない。
それは決まって、『コ』、という音。
『コ、コ、コ、コ、……』と、等間隔で鳴りつづけるのだそうです。
そして、もしそれを聞いてしまうと“障り”があるというのです。
今回は、その音を聞いてしまったある男性が体験したお話です。』
※実在の固有名詞を使用していますし、『東京タワーの四本足のうちの一本が、かつて墓地だったところに建っている』という都市伝説は既存のものですが、本作自体はフィクションなので安心してください。“障り”はありません。なにかあったとしても本作のせいではありません。
※本作に歩きスマホを推奨する意図はありません。
怪談 ラジオ 東京タワー 都市伝説 障り
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