サウティナ・ロベルテ伯爵令嬢は、培われた鑑識眼を使い、宰相の影として趣味と実益を兼ねた生活をしていた。
噂や情報から人の流れを想像して楽しみ、報酬として美味しいものを食べる。
ここ数ヶ月の王都を騒がす、第一王子を巡る公爵令嬢と男爵令嬢、第二王子と侯爵家姉妹の御家騒動はその最たるもの。
遠目から仕事も兼ねてにやにや楽しんでいたはずが、気がつけばその渦中に。
「まるでーーー悪女ね」
「悪、悪……ですか。そうですよね。貴方から見れば、いつだって私は悪役ですよね」
そして、国を揺るがす情報を手にれてしまう。
「イベリス姫ーーー私と帝国を取りませんか?」
他人の情緒にしか興味がないが故に自分に無頓着。知らず人を惹きつけるサウティナは、詰めが甘いなりに前に進んでいく。
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