魔王は永劫の時を待ち続けていた――四人の花嫁たちが、ついに自らの元へ集う瞬間を。
しかし。
「なぜ私を殺そうとする? おまえたちは私を愛すべき花嫁であるはずなのに」
イグセリカ、シルリィリア、ドラヴィオラ、グウィレミナ。
現れた四人の花嫁たちは、魔王に対して想像を超えた敵意と殺意を抱いていた。
「貴様が魔王だからだ」
拭いきれぬ敵意を向け花嫁たちは魔王に攻撃を仕掛ける。
「ならばしかたない。またやり直すまでだ」
――魔王はそう告げ、彼女たちを葬り去る。
魔王は失敗の度に何度も世界を再構築し、花嫁たちが自分を愛するようになるまで、人類を繰り返す。
しかし、彼女たちは変わらない。幾度繰り返しても、魔王の前に立ちふさがり、強烈な敵意を向け続ける。
そして、あるとき――彼女たちを滅ぼそうとする刹那、魔王は耳慣れない名前を聞いた。
「ウィチャード・ラグナー」
――花嫁たちの反乱の背後に潜む、この謎の男の正体とは?
魔王はこの男こそがすべての原因だと確信し、姿を少年に変え、花嫁イグセリカの弟子として潜入する決意を固める。
すべては、ウィチャード・ラグナーを探し出し、花嫁たちが魔王に敵意を抱く前に抹殺するために。
絶え間なく繰り返される悲劇の中で、魔王は自らの宿命に挑む。 ダークファンタジーの深淵へと誘う物語が、今、幕を開ける。