竜胆栞里《りんどうしおり》は幼馴染の柏原有志《かしわばらゆうし》の部活が終わるのを待つ間の時間潰しに、普段は行かない図書室にいる事にした。
扉を開けるとそこには先客がいた。
栞里に気付くことも無く本に没頭する女子生徒を一瞥し、栞里は適当な本を持ち、対角の席に着き読書を始める。
栞里がふと顔を上げると、女子生徒はうたた寝しているのが目に入った。
下校のチャイムが鳴るが起きる様子が無い為、栞里は意を決して女子生徒を起こす。
目を覚ました女子生徒は栞里を見ると逃げる様に図書室を飛び出した。
これが、竜胆栞里と睡蓮寺遥《すいれんじはるか》の、
心に傷をもつ二人の、初めての出会い。