幼い頃に触れた吸血鬼の物語を皮切りに, 彼女は密かにその存在に心惹かれていた。だが成長していくにつれ興味は他へ移り, 心はそこから離れていく。しかしあることを機に再び関心はそちらに向き始め, 彼女自身すら驚くほど日々思いは深まりを見せる。そのような中, 度々, 彼女は体調不良を感じるようになる。病院にかかるものの原因は分からず同時に不思議な夢も見るようになる。しばらくたったある夜のこと。何かに呼ばれたかの如く目を覚ました彼女は, 窓辺をしきりに飛びまわるコウモリを目にする。窓を開けて迎え入れるとコウモリはマントを羽織った1人の男性に姿を変えた。その男性こそ彼女が幼い頃から傍らに存在し, 吸血鬼の世界に2度も心惹かれさせ, 体調不良を起こさせた張本人であった。今夜が最後の一線を越える夜だとを告げた彼は彼女に吸血鬼の抱擁と口づけをする。繰り広げられる夢で見た光景とめくるめく快感の中で彼女は人としての死を迎える。