内定のない就活生がパパ活やってる美少女を助けようとする話。

空は橙色に染まっていた。十五分が経っていたのだ。

東京に核爆弾が投下されたのは、日本人が令和に馴染んで間もない頃だった。

「私のこと警察に言いつけたりする？」彼女は言った。 「しないと思う。今のところは」

深夜〇時。東京都江戸川区篠崎。民家の明かりもなく、冷え冷えと静かな住宅街。

少女のうなじが好きだった。

「こんにちは、私は×××と申します。東京で会社員をやっております。こんにちは、私は×××と申します……」

　夏川李央、１９歳。期待と不安を抱えて大学生になった。 　憧れていた《華やかなキャンパスライフ》。友人に囲まれて、美少女と付き合って、勉学に励み、サークルで遊び……などという幻想は、入学式中ずっと仏頂面を浮かべていたことで、見事に打ち砕かれる。 　友人も作れず、恋人もできず、退屈な講義を受けながら、サークルの気配もなく、空虚に過ごした１週間。 　ある金曜日の心理学講義の授業にて。 　同じグループになった滝田健司に、こんな風に誘われる。 「サークル作ろうぜ」 　自信に満ち溢れているが大学デビューっぽいケンジ、冷静で事務作業得意だがオタク気質なカナト、新聞部部長のミステリアスな情報屋ミナガワ先輩……個性豊かな仲間たちと波瀾万丈な事件に満ち溢れた、キャンパスライフの予感が吹き始める。 カクヨムでも連載しています