母親の入院する病院に見舞いに来た主人公は、屋上から飛び降りようとしている男性と鉢合わせする。自殺を止めようとして揉み合いになり、男性の代わりに屋上から転落してしまう。
気が付くと彼は異世界に転生しており、十二歳の少年の姿になっていた。
その世界では、百年一度、魂の入っていない空っぽの肉体に、異界からの人間の魂を憑依させて蘇生させる憑依召喚という儀式が行なわれていた。
異界から魂を憑依させられた者は例外なくチート級の能力を持つ勇者となり、世界を救うという宿命を背負う。
しかし主人公が覚醒させたのは、勇者ではなく、魔法薬を調合する《薬師》という地味な職業だった。
勇者に成りそこねた主人公が背負った二つ名が、《無能勇者》。
主人公は人間と魔物が殺し合いをしている世界に疑問を感じており、ゆくゆくは争いのない平和な世界にしたいと願っている。
自らが調合した魔法薬で、人間と魔物双方の橋渡し役となり、平和な世界を築くために奔走していく。
個性的な仲間と共に冒険を繰り広げる、世界一無能な勇者の物語。