……さようなら、私の大嫌いな世界。
――翔(しょう)、幸せに生きてね。
高校一年生の夏休みが終わる頃、望月 結月(もちづき ゆづき)は高校の屋上から飛び降りた。
彼女が自殺したのはもちろん理由がある。それは創造神によって与えられた『相手の心の声が分かる』能力のせいだ。
彼女はその能力のせいで居場所も、大切な友人も失くし……挙げ句の果てには命も失くした。
――しかしそんな彼女のことを本気で愛した者がいる。彼の名は如月 翔(きさらぎ しょう)。幼馴染で、彼女の能力を知りながらも交際していた。
しかし彼女は死んでしまう。翔には生気を感じられない彼女を抱きしめてあげることしかできない。
何か、もっと他に何か結月にしてあげれたはずだ。
後悔の念に駆られるが意味はない。後悔しても決して過去には戻れないし、結月にも会えない。
そんな翔の前に創造神が現れた。
「……もしそれが可能だったらどうする?」
これは、能力により日常が変わってしまった者たちの物語である。