作品一覧全3件
短編
前略 昨日ぶりである。 私の入手した、ある女の手記を送付する。 君は信じるだろうか。 この世には、日常の裏に想像もし得ない恐ろしい秘密がある。 この世には、余人の理解も及ばぬような美しい奇跡がある。 これはそんなものに行き逢うたという女の、儚く悲しい愛の独白記である。 あるいはこの世で唯一にして最初の宗教聖典のようだ。 ここに書かれた内容は真実かもしれないし、全くの偽りかもしれない。 何れにしても私には理解の及ばないものであった。 君が興味を持たれるかは分からないが、少なくとも今度会う時の話のタネにはなるだろう。 敬具
作品情報
純文学[文芸]
最終更新日:2021年01月10日
悲恋 古典恋愛 現代 シリアス 読了時間:約23分(11,276文字)
短編
深い森の先の、山々の谷間で息をひそめるように存在する小さな村。 その村の一際小高い丘の上に、白い教会が佇んでいた。 森を逃げ惑い、その教会に迷い込んだ『私』は、そこである少女と出会う――。 ---------- 本作は短編の怪奇小説です。
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ホラー[文芸]
最終更新日:2020年04月12日
伝奇 怪談 ダーク 和風 昭和 明治/大正 ホラー 怪奇 一人称 読了時間:約12分(5,588文字)
連載 完結済 3エピソード
『お祖父ちゃんは、怒ってたんじゃないかな。』 田宮浩司は三流大学の院入試に失敗して以降、東京の片隅でいつまで続くともしれぬ空虚な毎日を過ごしていた。 そんな浩司にある日、埼玉の実家から実業家の祖父・田宮李一の訃報が告げられる。 浩司は実家へのコンプレックスを胸に秘め、十数年ぶりの帰郷を果たすが、そこで目の当たりにしたものは祖父の死が浮き彫りにした家族の歪みであった。 一週間遅れの葬儀、祖父の死に神経をすり減らした妹、葬儀を巡りますます確執を深める母と祖母、そして祖父の残した会社を一人守ろうとする従伯叔父――。 果たしてこの家族の中、祖父はどのような思いで生き、死んでいったのか? 浩司は祖父の遺した思いと祖父の人生に迫ろうとする中で、祖父の犯した罪と苦悩を知る事になる。 しかしその時、日本中が震撼した『あの日』が訪れた――。 ―――― 兵士として、社長として、父として夫として、そして障害を持つ老人として生きた祖父。 その祖父の生涯を垣間見ることで、親から子へ、子から孫へと説かれる『生き方の自由』に触れる。
作品情報
純文学[文芸]
最終更新日:2020年03月11日
日常 青春 ホームドラマ シリアス 平成 読了時間:約180分(89,877文字)