書くまえに、
それでも人は、求めつづけている。
あるいは抱く理想の果てに、あるいは単なる不満のゆえに。
ときに苦しみ、ときに足掻き、忘れた振りをしていても、諦めた振りをしていても、人は結局その理想を捨てられない。
かくいう僕も、ずっと考えている。
何故、それはこんなにも手に入り難いものなのだろうか。
それは、本当に必要不可欠なものなのだろうか。
何故、それは人の目に、こんなにも眩しく映るのだろうか。
それの重さに、人は耐えられるのだろうか。
そもそも、それは、いったい何なのだろうか。
そして、
「そんなものが、本当にあるのだろうか」
このひとつの反問から、この物語は生まれた。
果てに行き着くところが、その反問に対する、今の僕のこたえだろう。
〈自由〉
この言葉の前で、僕はいつも口唇をかみしめる。
君はどうだ?
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
残酷な描写あり
最終更新日:2020年08月08日
青春 ハードボイルド
読了時間:約348分(173,658文字)