二十二世紀。かつてよりも少々進んだ技術が普及したり、前世紀の慣習や街並みが残り続けている時代。
城山祐治と宮元雪は、口約束ながら「婚約者」として十年以上の時間を共にしていた。
片や医者一族に生まれた男が立ち上げた、新進気鋭の医療研究会社の跡継ぎ。
片やその医療研究会社に勤める、医者の娘。
親同士の社会的な立場が違うから――という理由以上に、祐治に対して雪が献身的に尽くす日々。そしてその父親たちもまた、片方が片方のために動く関係であることがよく知られていた。
隙のない完璧な婚約者である雪に一方的に負担をかけていることに、祐治は苦い思いを持ちつつも中々状況を変えられないでいた。
ある日、国から会社へとある依頼がされた。隣国で発明された生物兵器らしき何かの駆除とその解析であった。多少とはいえ危険な依頼に、祐治と共に雪も参加することとなった。
医者にならなかったことを理由に祐治たちを蔑む、城山病院という名門の親族たち。
世界で初めて認められた「人工子宮装置」を開発して以降、急激に名を挙げ拡大する医療研究会社、城山研究所。
祐治に尽くせと雪に命令する二人の父親たち。
なにもかもがどこか歪なまま向かった生物兵器の除去の依頼で、祐治は思わぬ存在と対峙する。
これは「最悪」を免れるお話。
そして祐治の願いが成就するまでの話でもある。
(残酷描写は念のためにつけました)
(毎日一話更新予定……でしたが書き貯めがなくなってしまったので少し遅れるかもしれません)
作品情報
ヒューマンドラマ[文芸]
R15残酷な描写あり
最終更新日:2022年05月02日
サスペンス 近未来 死 幼なじみ
読了時間:約229分(114,128文字)