視覚野に直接映像信号を送るスマートデバイス“Mirage”が人々の生活に浸透して数年。
その年、東京では不可解な事件が多発していた。
秋葉原集団人体自然発火事件
池袋連続怪奇事件
渋谷フラッシュ騒動
東京都未成年集団失踪事件
彼らはまだ知らない。これらの裏に隠された真実を。
兎月鏡夜は、オカルトや都市伝説が好きなネット依存気味のどこにでもいる高校2年生。
匿名掲示板αちゃんねるの巡回や、まとめサイトや動画を見て毎日を過ごしていた。
そんなある日、鏡夜の運営するブログに一通のメッセージが届く。
それは、数日前に起きた不可解な失踪事件の被害者家族――被害者の妹からだった。
メッセージを受けとってから数日。濃霧の帰り道。鏡夜は不思議な空間に迷い込む。
そこは見覚えのあるようで、全く知らない場所。新宿にいるはずなのに、無音の空間。
「ここにいると危ないぞ」
背丈に合わない白衣を着た少年が、どこからともなく現れ、鏡夜へと歩み寄る――
陰謀渦巻く近未来の東京を舞台にしたSFが幕を開ける。
この世界は、彼らの行動により本来あってはならない分岐を始めた。
――そして次第に崩壊する――
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