『センニチコウ』 あらすじ
――「永遠の命」とは、果たして祝福なのか、それとも呪いなのか。
昭和初期、戦争の時代を生き抜いた北村幸次(きたむら ゆきじ)は、ある出来事をきっかけに不老不死の身体を手に入れる。
しかし、時代が移り変わる中で、彼は次第に「生き続けることの意味」を見失っていった。
時は現代。
若手女優として注目される**望月美紅(もちづき みく)は、過去のスキャンダルと家族の死によって、心に深い傷を負っていた。
彼女は友人である陽川結花(はるかわ ゆいか)や聖石隼人(ひじりせき はやと)**たちと共に、東京の小さな教会でボランティアをしている。
そこで彼女は、記憶の一部を失った男――幸次と出会う。
最初はただの時代錯誤な男にしか見えなかった幸次。
しかし、彼の言葉やふとした仕草が、どこか懐かしく、美紅の心を揺さぶる。
やがて彼女は、彼の過去を知りたいと願うようになる。
一方、幸次と共に過去を生きた男がいた。
中崎明(なかざき あきら)――彼はかつて幸次の親友であり、そして、幸次が愛した女性と結ばれた男だった。
彼の存在を知ったとき、美紅の中でひとつの”真実”が浮かび上がる。
さらに、幸次を”神”と崇める新興宗教**「不死栄(ふしえい)」の存在が、彼らの運命を大きく揺るがしていく。
その教団を率いるのは、かつて幸次と共に生きた八百井マツ(やおい まつ)**。
彼女は「永遠」を手にした者として、彼を迎え入れようとするが、幸次はそれを拒絶する。
彼が選ぶ未来とは、「生き続けること」なのか、それとも――。
そして、美紅、結花、隼人、そして幸次と関わるすべての人々は、**「限りある命の美しさ」**を知ることになる。
「千日紅の花は、色褪せない――。」
果たして、彼らが最後に選ぶ答えとは?
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読了時間:約396分(197,806文字)