その生涯が謎に満ちている小野小町を主人公とした物語。
小野小町は幻の花である。王朝に咲いた幻の花である。在原業平を胡蝶に譬えるならば、小町はまさに花である。しかし、その花は時には桜であったり、時には菊であったり、時には女郎花であったり、時には悪の花であったりもする。また鮮明に見ようとすると、その花は薄ぼんやりと暮れなばなげの花のように幻となってしまうのである。小野小町は、あの花、この花に譬えられはするが、畢竟、幻の花というべきである。
古典恋愛 史実 時代小説 小野小町 在原業平 古今和歌集 藤原良房
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