坂本恭之介は書くことが嫌いな人間であった。
昔から勉学というものが苦手で、その中で唯一まともだったのが国語だった。物語を書くことに至上の喜びを見いだせないばかりか、アイデア1つもとんとでない。その上ズボラで推敲も煩わしく思っている。
彼が書くのはそれしか能がないとも言える。
都会の街でドンと大きな飲食店を始めたいのだが、如何せん彼自身が陰気で小心者ばかりか厭世家かぶれの性分を持ち合わせているので全くもってことが上手く運ばないのである。
筆の運びも遅い彼は時たまくる助手の岡部恵子と共に作品の構想を練り、渋々筆を執り、また、サラサラと文字を書く。彼は上手く文学に表現のできない自分自身が嫌いであった。
自費出版とは言え、客足の遠ざかった古い書店に10冊ほどをひっそりと置く日々に陰鬱とした気持ちで過ごしていた梅雨の入り頃、岡部は1つの提案をした。
「先生、短編小説書きませんか」
それから坂本恭之介がやっとこさ一文字目を描いたのはそれから一週間立った頃だった。
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この作品は主人公、坂本恭之介が送る日常に短編小説を付け加えたものとなっています。
短編小説だけを読むのもよし、日常だけを切り取るのもよし。あなたの好きなようにお読みください。
また、気に入って頂けましたら評価の方とブックマーク。よろしくおねがいします。リクエストやご感想もお待ちしております。
注意としまして、本当に筆が遅いです。1作品につき3ヶ月ないし5ヶ月程度かかります。季節ごとに投稿するほどかもしれません。気長にお待ち下さい。ボチボチと書いていきます。
また、誤字脱字等もあるかもしれません。どうぞ遠慮なくお申し付けください。
よろしくお願い申し上げます。
日常 青春 ミステリー ラブコメ ギャグ シリアス ほのぼの 男主人公 女主人公 和風 現代 群像劇 ハッピーエンド バッドエンド
読了時間:約5分(2,137文字)