百瀬美波は、お菓子作りが趣味の、平穏を愛する高校一年生。 ある日、手作りケーキを抱えたまま、転んでしまった美波は、学園の有名人、その華やかな外見から王子様的存在である久世忍に助けられる。面識のない自分を助けて、優しい言葉をかけ、さらには口説くようなことを言う彼に、ときめいてしまう美波だが、彼が口説いていたのは、美波ではなく、美波の作ったケーキだった！？ 三度の飯は全てスイーツで！　というほど甘味好きな久世先輩に誘われて、美波は彼が部長を務める、倶楽部・シリウスに入部することに。そこで美波は、「奇想天外な王子様」の久世先輩と、「クール眼鏡おかん」の毛利先輩、「外見は美少女、中身は子犬」の和歌山くんと一緒に、数々のトラブルに巻き込まれながらも、楽しい日々を過ごしている……はずで、ある。

２３世紀の日本。面積、一五四〇〇キロ平方メートル。人口、一〇〇〇万人。平均年齢、一五六歳。 日本人は医療技術の画期的な進歩により、既に永遠の命を手に入れている。不死は実現し、「死」という概念すら忘れられつつある。美野原俊は、この国では特別な存在、日本人の中で、ただ一人、子供である。老成した仲間の中で孤独感に苛まれる俊は、自分のルーツを探り、遺伝子上の父親だとされる兼光さんの家を訪れる。偏屈だが人間味溢れる兼光さんは、この国の在り方に疑問を持ち、「絶対に死んでやる」と誰よりも生き生きとした目で語っている。 兼光さんとの穏やかな日々。また、台湾からやってきた、初めて見る同世代の女の子、美鈴との出会を経て、俊は日本の秘密を知ることになる。

香澄は恋愛依存症だった。両親とは疎遠、唯一の親しい肉親だった祖母も亡くした香澄は、恋人といることでしか、自分の価値を見いだせないでいた。恋人の蓮に全てをかける毎日の中、殴られる寸前で香澄を助けてくれたのは、昔の恋人、楓だった。合鍵を持っている蓮から身を守るため、香澄は戸惑いながらも楓の家に身を寄せることになるのだが……