あるところに旅をしている魔法使いがいた。その魔法使いは少年で、少年には今までの記憶がなかった。
あるとき、少年は一人、荒らされた石造りの部屋の中、謎の石の寝台のようなものの上で目が覚めた。そして手元には一本の黒い杖。ネルと名乗ったその杖の提案のもと、少年は旅をする。
「何もすることがねぇなら、世界を巡ってみたらどうだ?」
なぜ自分はここにいたのか、そしてこれから何をするのか。旅をしながら、少年は程々にその答えを求める。
時には魔法で人を助け、時には出会いと別れを経験する。はたまた美しい場所を見たり平凡な光景を見る。
そして少年は新しい何かを求め、今日もまた一人、黒杖と旅をする。