初恋の人が忘れられない男がいた。
盲目的に『恋』に溺れ他に全く目もくれない男は、己の恋が実らないことに気付くと次第に壊れていった。
彼だけを愛する人が隣に居ることにも気付かずに…
男には婚約者がいた。
彼女はそんな男の事を一途に愛していた。
男の心が別の人にある事も知っていた。自分に全く関心を向けてくれない男の事を憎くも思った。
しかし、それでも彼女は男を愛していた。
彼が幸せになるなら、身を引く覚悟もできていた。
しかし、彼の恋は叶うことはなく…次第に心も体も壊れ狂気に染ってゆく彼の姿に、彼女はある魔法をかけた。
それはーー
彼女の手には水晶玉が握られている。
水晶玉には彼の『恋』と彼女の『愛』が宿っている。
脆く壊れやすい水晶玉を手に、彼女は今日も彼に語りかける。
◇
恋に溺れる男と、そんな彼を愛する女の非恋物語。
悲恋 シリアス 女主人公 魔法 R15は念の為
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