ダリアは悲劇の中にあった。
結婚があと三ヶ月と迫ったとき、婚約破棄を言い渡される。婚約者が浮気をし、その浮気相手に子供ができたというのだ。
失意のダリアは宮廷医の元へ嫁ぐことになるが、バロウ家を取り仕切る大姑はダリアに冷たくまるで嫁扱いはされない。夫であるリュシアンは仕事に追われているのかなかなか姿を現さず、いざ会えばダリアを罵るような発言をする始末であった。
しかし、ダリアは負けない。
黒いドレスを身に纏い、黒く長い髪をたなびかせるようにしてツンと澄まして歩き、その鋭い眼光と人を見通す鋭い眼差しで、悲劇など吹き飛ばすように生きてきて、これからもそうするつもりなのだ。
そう、ダリアには悲劇など似合わない。
異国で身につけた中医学で人々を癒やしつつ、あらゆる悲劇とたたかっていく。
西洋医学×中医学
ダリアは病気を治療するだけでなく、人を治療すること、を掲げて治療に励み、王宮内のいざこざに巻き込まれていくことになるが……。
※この作品では差別的な言動、シーンがありますが、フィクションであり、舞台となっている国とその年代の社会背景によるものです。
シリアス 女主人公 西洋 近世 悪女 ざまあ 婚約破棄 医術 漢方薬
読了時間:約354分(176,911文字)