ここから遠く遠く離れたとある惑星にある街。『ハイランドシティ』そこに空高く聳えるビルの屋上。
「ふはは! 今日は天気も最高で大変よろしい!! ここから見える生物達も活発そうでなにより!」
そう白と黒を基調としたアンドロイドが声を張った。
無論、その声を聞いていたのはその足元でせっせと巣作りをしていた大きな鳥一羽だけ。アンドロイドを見上げて不服そうに「グア」とごちた。
「おやおや、鳥さん! お邪魔でしたね、申し訳ございません! では本機も仕事に戻りましょう!」
視覚センサーの倍率を等倍に戻す。
「感度良好! 周囲敵なし! オイル満タン! 風向きよーし!」
頭から伸びるツノのようなアンテナをカーンと弾く。
そして傍に置いてあった窓拭き用の掃除道具一式を持ち、一歩前へと踏み出す。
「さあ! 本機も今日はバリバリ働いてじゃんじゃん稼ぎますよー! ふはははは! ……は?」
ーーその日のタウンニュース
ソリスティ社の発表によると、同社のビル清掃を委託した下請けの業者による装備不良による事故との事。
幸い高所作業中の侵入禁止の措置によりこの事故による死傷者はゼロだった模様。
委託していた業者は実際には存在せず、ハイランドシティ市警は同社の監督責任を追求するとともに落下した直後に逃亡したアンドロイドの行方を追っています。