スラムで何の変化もないつまらない毎日を送っていたカイはその日、人生を大きく変える運命的な出会いを果たした。
ゴミ捨て場のゴミに混じって1人の女が落ちていた。
「超絶天才美少女魔法使い、ステファニー・ヴィオネとは私のことよ!」
カイはその言葉に半信半疑ながらも駄目元で彼女に魔法を教えてくれと弟子入りを頼んだ。
「はっきり言ってカイに魔法の才能は無いわ。血反吐を吐くような修行をしてやっと一般的な魔法使いレベルになれるかどうかってところね。それでもカイは私から魔法を教わりたい?」
弟子入りの前に才能が無い事実を叩きつけられたカイはそれでもと弟子入りを決意する。
「カイ、魔法を上手く扱えるようにするために何が一番大切かわかるかしら? 自信よ。己に、己の魔法に絶対的な自信を持つの。少しでも自分の魔法に疑問を抱いてしまうだけで精度に大きな差が生まれるわ。だから常に自分に自信を持ちなさい」
「カイ、このキノコは焼くととても香ばしい香りがして美味しいのよ。でもこのキノコに似た毒キノコがあるから注意が必要なの。傘の裏側によく見ると薄くて青い斑点があるでしょ、それが毒キノコよ。食べると3日はお腹を下して地獄を見ることになるから注意しなさい」
彼女は魔法もそれ以外のことも、色んなことを俺に教えてくれた。
「いやッ!! これ以上私に近寄らないで!! どうせ、どうせどうせどうせあなたも私を裏切るんでしょ! いやいい聞きたくない何も喋らないで! 早く私の前から姿を消して! これ以上近づくなら跡形も無くあなたを消し去るわ!!」
彼女は酷く怯えていた。
彼女に手を差し伸べようとしても拒絶される。
こんな俺が彼女を救うことができるのだろうか。
いや、違う。これまで俺は散々彼女に色々と与えてもらってきたじゃないか。
今度は俺が彼女に与える番だ。