戦争が終わって四年。
かつての首都・東京は壊滅的な被害を受け、復興の名のもとに「灯京」として再生された。
しかし、都市の再建は均一ではなく、復興区と未復興区の間には埋めがたい格差が広がっている。
美しく修復された街並みのすぐ隣には、瓦礫と廃墟が取り残されたままの未復興区があり、人々はその狭間で生きていた。
藤原一手(ふじわらいって)は、旧文明の警察組織に当たる「国民秩序庁」に所属する捜査官。
かつて軍に所属し、戦時における重要な作戦「曇天作戦」を実行し、唯一作戦を成功させ、生還した華々しい記録を持つ。
――だが、彼には記録に残らない、とんでもない悪癖が存在する。
それは、「最悪の一手」—―誰もが選ばない選択を、衝動的に選んでしまう」という癖。
普段は合理的に行動する一手だが、突発的に最悪の決断をしてしまい、その結果として多くの危機を招いてきた。
「曇天作戦」の唯一の生還者である彼が、「上官殺し」と呼ばれる理由もそこにある。
戦後復興とその影に存在するもの。
彼はまた「最悪の一手」を選ぶのか。
それとも、この呪われた選択から、抜け出すことができるのか。
シリアス ダーク 男主人公 和風 明治/大正 近代 内政 超能力 ハードボイルド サスペンス 異能力バトル ディストピア 社会派ディストピア
読了時間:約22分(10,672文字)