【 序 】
飢饉の時代。
口減らしの為、森へと置き去りにされた幼子はそこで妖しげな女と出逢う。
彼女は村の皆から気味悪がられた"猫の目"と同じ瞳を持っていて。
「わっちと共に来なんし」
幼子は差し出されたその手を眺め、そして─────
【 壱 】
恐ろし森に囲われた山間の集落"宵照村"にて。
山を降り、人間として暮らしを始めた青年は、振るわぬ狩りの代わりとして村長の娘 弥生(やよい)の護衛を任されることになる。
その頃になって、村の周囲では何やら異常が起きている様子であり…
森の中、血と臓物を抜かれた異様な死骸が数多に。
不気味に着いてくる、熊をも超える大きな影が近くに。
気付けば村の中にまで、黒が迫っていて───