高校二年の残暑。捨て子であった過去を持つ日野つかさは、自分の心をひた隠しにして生きていた。捨て子だというつかさは、4歳で捨てられる以前の記憶がショックによって欠落していた。親がいない、捨てられたという事実と自分が何者かわからないという苦悩は幼いころからつかさを蝕み、高校生になる頃には全くほかの人間たちを信じられなくなってしまっていた。しかし、「生きる」ことを諦めはしないつかさは今日も全く信じることのできない他人とともに生活し続ける。そんな彼のもとに、ヴァンと呼ばれる不思議な子供が姿を現す。「その願い叶えてあげましょうか?」その子供は言う。茶番劇に付き合わされているような日常の腹立たしさや、何時ねくびをかかれるかもしれないというような恐怖にも似た感情。果てしないストレスの中つかさが欲したのは「ひとりだけの世界」であった。半信半疑の中、口にしたその願い。ヴァンがつかさに要求した「代償」とは?
現代(モダン) 高校生 学園 恋愛 シリアス ファンタジー ひとり
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